WONDERFUL WORLD

ジャーナリスト、山本節子の環境問題のブログです。テーマは農薬、化学物質、環境汚染。特に今、ワクチン、GMO、放射性廃棄物、再エネ問題と格闘中。連絡はコメント欄(非公開)か、hanghau*hotmail.comからどうぞ(*を@に変えてね)。
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小皇帝は病気です

 南京はこの一週間、ずっと冷たい雨。気温は2−7℃です。
 2月19日、久しぶりに隣の部屋の隣人に会いました。母親と娘、それに
もう一人、年配の婦人がいます。誰? とりあえず、あいまいに挨拶すると
母親がいつものように、機関銃みたいにしゃべりだしました。脈絡もなく。

「彼女はおばさんよ、一緒に住むの(ええっ、あの小さい部屋に三人も?)。
だからね、ガス代も少し多く払うよ(当然、私は料理をしていないから)。
私ら、あんたのこと誤解してた。電気代は家賃に含まれているんだってね・・・。
子どもが病気なのよ。だから、夕べ私は帰って来なかっただろ?」

「子ども? 誰の子どもが病気なの?」
「この子だよ」
 朝青龍の妹みたいな娘は、心なしか一回り小さくなり、暗い顔をして後ろに
立っています。「彼女がどうかしたの?」
「なにもしゃべらなくなったんだ。で、病院に行ったら、入院だって。
今日は一時帰宅で、明日また病院に帰るんだよ」

 うすうす察しがつき、なんとなくぞっとしました。
「で、どこが悪いの?」
 すると母親は指で頭にさし、少し声をひそめました。
「精神病だよ。ほら、大学院入試のストレスって相当強いだろ?」
「・・・」
「あんた、以前ウチの娘のことを小皇帝だ、苦労させなきゃだめだと
言ってたけど、ほんとだった。考えもしなかった・・・」

 彼女はどうして精神を病んだのか。
 私は昨秋から、彼らとできるだけ顔をあわせないようにしていたので、
娘の入試結果さえ知りません。そして、彼女たちが掃除をしないことも、
二人でよく怒鳴りあうことも、電気代などを払おうとしないことも、全部気が
つかないフリをしてきました。
 この間、娘はずうっと外出もせず、狭い部屋に、24時間母親と二人で
こもりきり。22歳、おしゃれにも化粧にもテレビなどにも興味のない彼女、
ストレスをどこで発散させていたのでしょう。

「大丈夫よ、もうすぐ春。暖かくなったら元気になるわよ」
 私が言えたのはこれくらいです。本当は、「郷里に帰って、しばらく心
と体を休めたら?」と言いたかったのだけど、受け付けるはずがないので、
口に出しませんでした。中国でも、親の過剰な期待につぶされる受験生は
多いでしょうね。2009.2.22

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白馬村の焼却炉建設計画、断念!

守ってくれて、ありがとう!!

 北アルプスの麓、白馬村に広域(大町市・白馬村・小谷村)の焼却炉
建設計画が打ち出されたのは、昨年の2月でした。二つの川が合流する
湿地帯、近くに断層あり、周囲は田園、目をあげると北アルプス連峰という
すばらしい予定地です。山好きな私がどんなに頭に来たかわかるでしょう
・・・ったく。(↓は08年8月山本撮影)

白馬岳直下のお花畑

 すぐ反対団体が結成されましたが、有効な手が打てないでいるうち、テ
キは地元ボスを抱きこんで推進団体を作るなど、混戦模様になりました。
今の時代に「焼却炉推進団体」なんておったまげますが、これだけでも、
同地の反対運動がどんなに大変だったかわかります。反対派に対する嫌
がらせも、相当あったでしょうねえ・・・

 でもそのごたごたも、09年1月、広域連合が行ったアンケートで、反対
派が多数を占め、決着がつきました。2月17日、牛越連合長(大町市長)
は、この結果を尊重し、現予定地への建設断念を発表したのです。
http://www.chunichi.co.jp/article/mie/20090220/CK2009022002000006.html?ref=rank
「ゴリ押し」もありえたのに(違法だけどね)、理性的に判断をされたこと、
そして何より反対に投じてくれた村民にお礼を言いたい。山ヤとしても。

 もちろん、北ア広域の焼却炉騒ぎはこれで終わりではありません。
地元自治体の英断と、住民の自覚がない限り、新予定地のもぐら叩き
ゲームが続くでしょう。でも、市民と一緒に悩み、発想を転換することで
ごみ処理問題は解決の道が見つかるもんです。今後に期待しましょう。
2009年2月20日
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南京だより:南京大虐殺記念日

南京事件―音の記憶

 
12月13日、この日ほど自分が「南京にいる」ことを強く
感じさせてくれる日はありません。
 この日は南京大虐殺記念日。
いつもと変わりない朝は、10時になると一変します。30分間、
町じゅうにサイレンの音が鳴り響くのです。初めは3分の間
を置いて。やがて間隔が短くなり、最後は間断なくなって終
わります。音の効果は絶大です。人にもよるでしょうが。
 
 このサイレンを聞くのも3回目。
 最初は授業の途中でした。南京出身の学生にいわれを聞き、
涙がこぼれて困りました。二回目の去年は、いたたまれずチャ
リで大虐殺記念館に行きました。新装なった同館の見物客の波
にもまれ、たくさんの資料を見て疲れて帰宅しました。三回目
の今年は、中華門に行くつもりが寝坊して、アパートで一人、
響きわたるサイレンに聞き入っています。そういえば、今年
6月には四川大地震の慰霊サイレンがありましたっけ。


 昨夜の
TVニュースでは、去年封切られた「南京、南京」とい
う映画に、南京方言の指導として雇われた高齢の女性のことを
報道していました。彼女は事件の幸存者です。
 女の子だとわからないように、父親に頭を丸坊主にされ、
ラーベに「行かないで、あなたが帰ったら私たちはみな殺され
てしまう」と訴えた記憶の持ち主、多くの家族・親戚の殺害を
目撃した経験の持ち主。その悲しみの表現はすばらしく、裏方
から、「役」が与えられました。

 しかし、大勢の市民役は必ずしも事件を知らず、うまく
動いてくれません。映画のメーキングフィルムでは、監督が
「笑うな、生死がかかっているんだ、もっと必死な表情で」
と言っても、エキストラは穏やかな、のんびりした顔つき。
そこで彼女がマイクを取ります。「今の人にはわからないか
もしれない。でも、こんな映画に出て笑っている人を見ると
本当に悲しい。私はこの目で、おじが、おばが、いとこが殺
されるのを見た。南京大虐殺なんかなかった、ウソだという
人がいるが、全部事実だ。歴史は塗り替えられない…」
 その後、撮影はうまく行ったと言います。


 大虐殺記念館では、今年新たに写真や手記、手紙など
500
以上の新資料を入手したそうです。でも、ここ数年で70年前の
事件の体験者、幸存者は激減しています。それとともに、日本
では「なかった」派が勢いづくのかもしれません。でも、南京
大虐殺は日本軍の悪事のほんのひとコマ。戦争できる国が何を
やらかすか、やらかしてきたか、それを追及するのは後世の人
みんなに課せられた義務だと思います
。(20081213

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南京だより 新しい隣人 人のせい

南京だより 新しい隣人 人のせい

 さて前回は、隣人の母娘のうち、いつもは何を言っても怒鳴る母親が、珍しく下手に出たという話でした。そのわけは、翌日わかりました。
 朝、彼女がねこなで声で「忙しくなければ、今日、洗濯機を使いたい」というのです。
  「洗濯機? 不動産屋に相談した?」
 とたんにどなり声です。
 「言ったよ。そしたら今あるのを使わせてもらえ、とさ。契約書にはちゃんと洗濯機と書いてあるんだよ」
 「残念だけど、この洗濯機は私が買ったものよ、だから私の契約書には書いてないの」
 「でも、私らの権利は守られるべきだ」
 「それは不動産屋に言いなさい。私には関係ない。だめなら自分で買うのね」

 こうして私は彼女たちが私物の洗濯機を使うのを拒否しました。
 お断りしておきますが、私は普段、決してこんな意地悪な人間ではありません。
 この部屋に住み始めた時から洗濯機はありませんでした。以前の同室者が調達してくれた古い洗濯機は故障続きで使えず、ついにあきらめに新しいのを買ったのです。
 最初は、彼らにも使わせていました。もちろんこれが私物であるということを伝えて。
 ところが、彼女は一回あたり2時間ほども洗濯機にはりつき(私の部屋のバルコニールーム)、その間、大量の水を流しっぱなし。勉強どころではないので、居間に移してもらいました。でも居間にはホース接続ができず、水を手で汲まなければなりません。それで元の場所に戻すように言うと、「後で」とやってくれません。仕方なく自分で戻しました。

 それでも、人間関係がよければ、なんとか共用していたでしょう。
 私が腹を立てたのは、悪いことを全部人のせいにするという彼女たちの態度でした。
 彼女たちと食事の支度がぶつかるので、私は最近ほとんど外食しています。家で作るのは週2回ほど、ごく簡単な料理だけ。一方、母親は毎日3回、朝から盛大に油を使っています。台所には雑巾というものがなく、使用後の汚らしさといったら。

 ある日、お昼に戻り、食事でも作ろうかと台所に行ったら、床がなぜか水びたしです。
 すぐに母娘の部屋のドアをたたき、「使った後、掃除しなさいよ」というと、
 「あんたは何時間使った?」と聞くのです。
 よく聞くと、使った時間に応じt掃除をしようといっているのでした。
 「何言ってるの! 使ったつど掃除するのは当たり前だろうが」
  ・・・でも、この常識が、彼女たちには通じません。
 
 娘のシャワーの後、長い髪がたくさん落ちているのを指差し、穏やかに「使ったつど掃除しましょうね」と言ったことがありました。とたんに母親が飛んできて叫びます。部屋に戻った私の耳に、「彼女に掃除させればいいんだ、これはこうして」などと聞こえました。髪を床の排水溝に流したのです。後でそれを取り除きながら、さすがにげんなりしました。善意もアドバイスも通用しない連中だということを認めざるを得なかったからです。
 その日、私は「洗濯機は使わないで」と言ったのでした。

 彼女の「使わせて」という言葉は、それから十日ほどたってからのこと。
 これは彼女たちの「生態」のごく一部で、他の事例はきりがありません。昨日(11月21日)は、突然ヒューズが飛んで停電しました。彼女が排煙機のスイッチをいれたとたんなのですが、彼女は反対に、私が使っていた湯沸かし器のせいだというのです。幸い修理屋が、原因はやはり油がこびりついた排煙機の故障だと断言して一件落着。費用は彼女に払わせました。

 こうして私の毎日は、次に何がおきるかわからない隣人との緊張関係の中で続いています。
 精神的につらくないか? いいえ、期待しているところもあるのですが。
(2008.11.22)

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裁判員制度に反対! その

裁判員制度に反対! その

「狷介老人」さんから↓のようなコメントをいただきました。忙しくて返事が遅れました。

「裁判員制度の背景の一つにアメリカからの要求があることは確かだろう。 何の目的があってアメリカが斯くも妥協する事なく突っ走るのか。この制度はどこかで有無を言わせずに決定され、後はどうせ反対論者などは、既成事実には弱いと高をくくっていると思われる。狷介老人 | 2008/11/17 4:23

おっしゃるとおり、私も(きちんと分析はしてませんが)これはアメリカの年次改革要求に答えた制度だと確信しています。十年ほど前、突然「弁護士が足りない」と、アメリカ並みのロースクールが導入されたのもそうでした。法科大学院。その結果は、法曹界の無言の抵抗に会い(違う?)、失敗したと言っていいのでは。

アメリカの要求はすべて自国の権益擁護のためです(中国の人権批判もそう)。このケースでは、安保条約堅持、運用の拡大(つまり、戦争)のため、その邪魔になる司法の権威を弱めることが目的ではないでしょうか。アメリカの日本の法体系に関する知識は、日本の比ではなく、この制度の違憲性は百も承知のはず。いろいろあっても(ブッシュ、さいなら)アメリカは法治国家なのです。

日本は? 法治国家ではなく、権治国家。まともな住民運動をしてきた人なら、この意見に全面的に賛成されるはずです。日本の裁判所もとっくに行政下請け機関。だから自分たちの存在を危うくするこの制度に、「違憲」だと言い出せないのです。もちろん、受験エリートに過ぎない日本の官僚族や、金権族議員が太刀打ちできるはずがない。彼らは悪法や悪制度を作るのが商売です。

 その悪い制度や法律をやめさせられる力は、普通の納税者にしかありません(公務員や議員には裁判員になる義務はありません)。もっとも、権威に弱く、自分の意見をちゃんと表明する習慣がない日本人は、この制度による思想統制を受け安いのが心配です。

政府が違憲論を無視しているのは、今の日本では、既成事実をつみかさねれば市民があきらめるのを知っているからです。その延長線上にあるのが憲法そのものの弱体化。…この問題については、書き出すときりがないのでこのへんで。またみなさんのご意見をお聞かせください。(2008.11.22)

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南京だより:どろぼう‏

  3日ほど前から、気温がぐんと下がりました。先週は半そで
だったのに、今日はセーターにコート、マフラーも要るという
寒さです。みなさんもお風邪を召されないように。
 
 ところで先日、授業から帰ると、アパートの前で、見知らぬ
二人のおっさんが一階のウチの窓あたりを覗き込んでいます。
で、ニイハオと声をかけました。

 すると二人はまじめな顔で、「あんたはここの住民か」など
と聞きます。そうよ、と答えていると、顔みしりの二階の女性
が降りて来ました。「夕べ泥棒が入ったの。取られたのは数百
元くらいで、たいした額じゃないけど…」
 
 ど、どろぼう? 当然ですが二人は警察官でした。
 それにしても、一階には鉄格子が、二階以上にはバラの枝の
ような忍び返しが植え込んであるのに、どうやって入ったの?
「ほら、浴室にはないでしょう。一階の窓が開いていて、そこ
に足をかけて二階にあがったのね」
 
 …思い出した。夕べ遅く母子がシャワーを使った後、窓を全
開にしていたのです。私がそれに気づいたのは朝でした。
私はすぐ母子を呼び、警察と被害者の前で、自分たちが窓を空
けたままにしておいたことを認めさせ、そして「寝る時はちゃ
んと閉めなさい」と注意して部屋に入りました。現場で注意し
ないと、悪い習慣は直らないからです。

 この泥棒事件はすぐ全住人に伝わったようで、同じ南秀村に
住む思想史の教師(女性)に、「知ってる?」といわれ、前の
棟のおばあちゃんには「あんたは日本人だから、余計気をつけ
なさいよ」と声をかけられました。どうも、泥棒より、取られ
た人の不注意が重視されているような…。そういえば、上海路
のアパートでは、ほとんど全戸がどろぼうに入られたと聞いた
っけ…。ありがたいことに、私は未経験。

 ところが同じ日の夜、もう一つ問題が発生しました。
 12時ごろ、娘がトイレを使った後、いつまでも水がとまりま
せん。これも初めてではないし、何回か注意していますが、直
りません。5〜6分も水音を聞いた後、彼らの部屋のドアを叩
き、「水が出たままよ」と伝えました。

 すると娘が金切り声をあげて出て来ました。
「しばらくしたら停まるわよ、それでいいんじゃないの?」「
よくないっ!」
 すると彼女は何か早口でまくしたてます。幸い、こうなると
何を言ってるのかわからないので、こっちも「恥ずかしくない
の、マナーを守りなさい!」など日本語で応酬。口げんかでは
中国人に負けん。
 すると、母親が珍しく「まあまあ」と止めに入りました。い
つもは真っ先に、ぎゃあっと大声で抗弁するのに?
 おかしい。
 理由は翌日わかりました。それは…また次に。
(2008.11.10)
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「裁判員」の断り方

 「裁判員」の断り方

 裁判員制度について「以前から猛烈な反対運動がありますよ
」というメールをいただきました。「裁判員制度は違憲のデパ
ート」というキャッチフレーズも。でも、ネットには「なぜ反
対運動がないの?」という声もあり、それほど反対運動が大き
いとも思えません。海外ではようわからん。

 最大の反対派は→http://no-saiban-in.org/でしょうか
百万人署名を集めるそうですが、その用紙には「基本的人権に
反する」としか書いてない。抵抗方法もない。で、↓に反対派
の論理的指導者(?)の西野喜一氏の違憲理由を紹介します。私
の解釈はまた別ですが、おおむね賛成できます。

1憲法に「裁判員」はない。憲法に根拠のない者が司法を担う
のは違憲だ。
2憲法32条に定めた基本的人権「裁判を受ける権利」を侵害
する。
3憲法37条1項の被告人に対する「公平な裁判所」の裁判を
ないがしろにする。
4国民に裁判員の義務を課すのは憲法18条の「苦役」にあた
る。
5裁判員に従事して経済的損失を受けると憲法29条の「財産
権」の侵害になる。

 彼の本、「裁判員制度の正体」には裁判員制度の「逃げ方」
についての指南もあるそうです。

1.裁判員等選任期日の呼出状を受け取らない。
2.質問状を返送しない。
3.選任期日に裁判所へ行かない。
4.選任期日によんどころない用事を作る。
5.裁判長から(強引にでも)免除をもぎとる。

 それでも選任されてしまったら?(以下は私の意見)

1.選任の受諾表明をしない。
2.合議の中で、賛否を一切表明しない。
3.表決に参加しない。
4.ことあるごとに制度の違法性、違憲性を訴え続ける。
5.裁判員に選任されたことを表明し、メディアに顔をさらし
て不快感を表明する。

 などなどが考えられます。具体的手続がわからないので、ア
バウトですが、少なくとも私ならこうします。もちろん、平素
から制度への反対を表明しておくと、「公正な裁判ができない
」って、不選任となる可能性が高いはず。

 それにしても、日弁連や最高裁が、途中から反対を引っ込め
て賛成に回ったのはなぜ? この制度を導入するなら、まず裁
判官全員辞職しなさいよ!
 また、本当に反対するなら、今から違憲裁判に向けて緻密な
準備をしておくべきだと思います。2008.11.6

 
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南京だより:「裁判員制度」をごぞんじですか?

 
南京だより:「裁判員制度」をごぞんじですか?

 先日、日本語科の三年生に「裁判員制度のことを教えて」と
聞かれました。作文の宿題で賛否を書かなくてはいけないけど
、新しい先生(日本人・男性)の説明がよくわからないという
のです。

 そういえば、友人の一人がこの制度の主導者の一人だったっ
け。当時は「参審制」の議論だったはず……それが来年から施
行されるのですね。生徒によれば、「裁判員も決定に加わるん
ですよ」。えっ?
 おかしい。
 今の日本の司法制度で、市民を判決に加えられるのか?
 とにかく、簡単に三権分立、司法の独立、日本の憲法につい
て説明し(必須事項ですからね)、詳しくは次回、説明するこ
とにしました。

 調べて、唖然としました。あれほど市民参加をいやがってい
た政府は、突然、陪審制に近い制度をとり入れたのです。「裁
判員の参加する刑事裁判に関する法律」(平成十六年五月二十
八日法律第六十三号)は、私に言わせると違法違憲のオンパレ
ード。

 まず、「裁判員制度」とは、殺人、放火などの刑事裁判に市
民を裁判員として服務させる制度です。裁判員に選任されたご
く普通の市民が、プロ裁判官と共に「合議体」を構成し、有罪
か無罪か、有罪の場合、量刑をどうするのか決めなければなり
ません。

 「裁判員」に選定されたら特別の理由がない限り、国民には
出廷の義務があります。服務の義務、つまり、国民としての義
務。……憲法にはこんな義務、書いてありません。憲法規定以
外の義務を、しかも裁判権に直接関係する義務を法定してしま
うなんて、違憲じゃないか!

 「人を裁くことなんかできない、量刑も言渡せない」という
人もいるでしょう。ところがこの制度は、そんな人もむりやり
死刑を含む判決に加担させるもので、思想の自由を大きく侵害
します(無罪を主張しても多数決で決定)。これまた憲法違反
。「裁判官の職務」も変わってくるでしょうに。

 ところがこの件、なぜか憲法論議が見当たりません。改憲に
つながりかねず、法曹関係者も憲法論議を避けたのかもしれま
せん。いずれにしても、違法を黙認していることになります。
深刻です。いちばんひどいのは、違憲判断を下す権力をもつ最
高裁が、この制度をPRしていること。これで裁判制度を信じろ
ったって、信じられるか…
 
 「裁判員制度は法制審議会にもかけられていない」との論も
ありました。内閣法制局は通したのでしょうが、ここは最近、
違法立法局と言ってもいいくらいになっていますから。

 対象事件は極めて恣意的に選ばれる可能性があります。なに
しろこの制度は地裁だけだし、対象になる事件は、裁判全体の
わずか3%(年間)との試算もあり、公判前整理手続で事実関
係が整理されたものに限られますから。もちろん、法令の解釈
及び訴訟手続についての判断は裁判官に委ねられるので、裁判
員は事実上、有罪判決を支持する役目だけが求められていると
しか思えません。

 こんな特例的な制度を、大金を使って、しかも全体の法制度
を崩す形で導入するわけです。政策の整合性や、制度導入のた
めのアセスをきちんと行っていれば、決して導入されることは
なかったでしょう(アセスは環境だけではなく、法律にも導入
されます。日本だけはやっていない)。

 他にもありますが、長くなるので最後に:

 裁判所は毎年、「裁判員」の候補者リストをこさえます。資
料は行政からのお取り寄せ。裁判所はさらに、裁判員に選定さ
れた市民に対し、詳細な「質問書」を出すことができ、市民は
これに答えなければなりません。要するに、裁判所は今後、市
民のプライバシー情報を手にすることができるわけです。その
資料の扱いについては(保存年限や公開請求など)特に決めて
ありませんが、宝の山ですから、きっと水面下でいろんなとこ
ろに流れてゆくことでしょう。

 制度開始の前に止めなきゃと思いました。憲法を大事にした
いみなさん、今、法律レベルで憲法の核心が崩されて行ってい
るのに気づいて下さい。2008.11.4
 
 

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南京だより:米どころのラジコンへり

 南京だより:米どころのラジコンへり

 ナンシーさま、酒匂川の松の農薬散布のお知らせ、
ありがとうございました。どうしてもコメント欄に入ら
ないので、メインページに載せます。
     
         *******

 私もこの夏、初めてラジコンヘリを目撃しました。
 北アから下りて、富山の地鉄に乗っていた時のこと
です。ある駅で停まった時、線路のすぐそばまで広がる
青々とした田んぼの上を、ブーンと音を立てて赤いヘリ
が飛び回っていました。へりはかすかな白い霧をまき散
らしています。
 
 すぐそばの道路に、おっさんがリモコンを持って立っ
ています。その脇をおばあちゃんがトコトコ通りすぎて
いきました。あまりに日常的な様子にあっけにとられ、
思い出してカメラを手にした時は、もう電車が動き出し
ていました。意識の高い農家ばかりではないのです。

 都会の人間は、そんな田舎の「実態」が本当によくわ
かっていないのです。だから、農薬使用も減らないし、
被害者の経験も共有できないのでしょうね。情報を共有
しない限り問題は解決できないのですが。

 ところで、南京のアパートでも、9月末、生垣にスプ
レーで薬剤(多分)を撒いているのを目撃! げっ、と
息を殺して通りすぎました。でも、子供たちは薄着で走
り回っているし、老人たちも、何ごともなくそのそばで
おしゃべりしているのです。危険だと思ってもいないの
でしょうが、使っている薬剤も違うの?

 そうかもしれません。南京大学の構内ではまだセミが
元気よく鳴いているし、社区の朝は小鳥たちのきれいな
さえずりで満ちています。大気汚染が確かにあるのに、
なぜ小動物たち(子供を含め)がこんなに元気なのか、
時々不思議に思う私です。
 

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南京だより:あやしい電話 その

 南京だより:あやしい電話 その

 一週間の国慶節休みの最後の日、また録音テープによ
る電話がありました。前と同じ内容。中身をうんと簡略
化すると、だいたい以下のようです。

「お宅の赤ちゃんは元気ですか? 毒ミルクの被害は、
全民族が直面する災害です。農民、工人は大企業の暴利
に苦しんでいます。農民は生活できなくなっている。四
川地震の被害者はなお苦しんでいる。貧しい人々はまだ
毒ミルクを子供に飲ませている。これは謝って済む問題
ではない。
 いろんな毒の中で、一番ひどいのは中国共産党の毒だ
という者もいる。共産党は純粋な気功修練団体である法
輪功を弾圧した。大勢の人々が捕らえられ、次々にだま
されて、活動が破壊された……」

 前回、最後まで切らずに聞いたので、再度かけてきた
もののようです。でも今回は、「この電話を聞いても、
心配いりません。みな海外で活動しています。もしあな
たが……」というあたりから明らかな妨害の雑音が入り、
聞き取れなくなったので、すぐに受話器を置きました。

 最初の電話のことはWonderful Worldにupしましたが、
(それで今回は2としました)。オープンサイトでは書
きにくい私の素直な感想は、「彼らは反体制運動をそそ
のかしている」ということです。事実は知らないけど、
止めてよね、これ以上、暴動や戦争を増やすのは。

 もっとも、今の私はこの問題に首をつっこむつもりは
ないので、ご心配なく。それより気づいたのは、中国語
ではメモ取りできないということでした。日本語なら自
信があるのに……これは、今言ったことを、三十分後に
は平気で否定する行政を取材するうち、自然に身につい
た技です。中国語の場合、表意文字ということと、私の
言語能力の低さが問題のようです。少し努力しなくちゃ。

 今日の南京は小雨。ようやく最低気温が20℃くらいに
なりました。私の住む小区は金木犀の香りに終日包まれ
ています。小枝を失敬して部屋に飾りました。
(2008年10月5日)
 
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