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ジャーナリスト、山本節子の環境問題のブログです。テーマは農薬、化学物質、環境汚染。特に今、ワクチン、GMO、放射性廃棄物、再エネ問題と格闘中。連絡はコメント欄(非公開)か、hanghau*hotmail.comからどうぞ(*を@に変えてね)。
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マルクール事故 秘密のベールに包まれて

  昨日お伝えしたマルクール事故についての、スペインのプブリコ・エスパニョ―ル紙の全文(英訳)を見つけました。スペインのメディアが詳しく報道したのは、死亡した作業員がスペイン籍だったからでしょうか。以下、この記事をベースに、他のメディアの情報を加味して「マルクール事故」を再現しますが、実態はやはり、フランス政府の公式発表と正反対のようです。

 爆発後、現場に駆けつけた消防隊は、敷地内に入るのを拒否しています。現場の状況がわからず(放射能濃度も爆発規模も不明)、危険だと判断したのでしょう。地元の警察隊も、特別チーム(NRBC)が来るまで、現場入りを禁じられています。それにもかかわらず、ASN(原子力安全局)や環境NGOのCRIIRAD(クリラッド)は、「今のところ、放射能漏れはない」と発表していますが、これが何のデータを元にしているのかは明らかではありません(ASNは「事故は終わった」とまで言っています。CRIIRADは後になって汚染があったと発表)。

 消防隊はやがて決死隊を送りこみ、怪我をした三人を救出しました。しかし、うち一人は、1300℃に達する溶鉄の砲弾の破片を受け、体表の85パーセントが三度のやけどという重症で、生死の境にあり、モンペリエ大学中央病院の特別ユニットに担ぎ込まれました。一方、ホセ・マリン氏(51)は、ソコデル社の溶融炉から「火山の噴火」のようにふきだした四トンの溶融金属に直撃されて即死し、遺体は炭化状態となっていたようです。ソコデル社とはフランス電力公社(EDF)の子会社で、セントラルコ核廃棄物焼却炉の運営を請け負う会社です。

 この事故を受け、政府はすぐエコロジー・交通・ハウジング省のナタリー・コシウスコ=モリゼ大臣(彼女はこの少し前まで未来予測・デジタル経済開発担当大臣だった)を現地に派遣、彼女は、EDFと共に周辺を測定し、その結果、「放射能漏れはない」と発表しています。それどころか、メディアを使って「放射能が関係する事故ではなく、産業事故に過ぎない」などとPRを始めています。原発依存率は80パーセントにもなるフランスでは、何がおきても、まずは「人心安定」。さぞかし、ウソも多くなることでしょう。

 ホセ氏の遺体は水曜日夜になって、ようやく
裁判官3人が率いるNRBCチームに運び出され、救急ヘリでモンペリエの病院に運ばれました。事故が起きた月曜昼から、実に48時間以上も現場に放置されていたわけです。遺体には、放射能を帯びた榴散弾が発見されました。NRBCは、検察の解剖を省略する許可を得て、遺体を特別の棺に入れ、急いで特別防護部隊が守る格納庫に運びこみ、内部を「放射線防護ライト(?)」で照らして密閉した上で、チャスクランの教会に安置しています。つまり、もう誰も、死者の体を見ることも、放射線を計ることもできなくなったのです。

 これについて、調査の責任者の一人(警察官)は、「遺体を見せようとすれば、前もって除染作業を行うしかなかったが、そうすると体そのものが溶け出しかねなかった。だから、事実上、できなかった」と述べています。二次被曝を恐れたとか、解剖できる状態になかったとかいうより、遺体に残った榴散弾について詮索されるのと、遺体の放射線の高さがばれるのを避けたのかもしれません。

 「放射能漏れのおそれがない」なら、測定すれば済んだはずなのに、それをパスしたわけだから、これは怪しい。地元の人々だって、政府の大本営発表なんか信じてはいません。地元住民らは、1956年の稼動から50年以上も、「マルクールの秘密」―原発で働く人々のガンや、放射能のリスクなど―は、ずっと噂の種でした。(続く)2011.10.5
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